大人の男に妄想

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   恋愛なんて全然考えないで、ただ走っていたい。  今の結芽には、その方が良い。  今日は落ち込んでるし疲れてるから、明日学校に来てから考えよう。そう思って、チャリ通の友達と校門まで歩いた。  朝の事なんて、誰も言い出さない。  女子高生の興味とか好奇心なんて、そんなもんだよ。今夜の、テレビドラマの方が重要だもんね。そして、みんなと別れて駅に向かった。  このまま駅に行ったって、変わらない日常の延長があるだけ。ホームに『トンチンカン』がいて、馬鹿話しをしてて。電車に乗ったら、あの女の子がいるんだよね。  ドラマチックな、出会いはあっても。それ以上の展開なんてあり得ない。 「結芽ちゃん、結芽ちゃん」  誰よ、この最悪な気分の時に、結芽の事を呼ぶのは。声のする方に向いてみた。 「あっ、小林さん……」  たぶん、外車。そのおっきい車の窓を開けて、小林さんがこっちを見てる。
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