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小林さんから、お金を渡されて。窓を開けて、お金を払ってお釣りを返した。
その時、ちょっとだけ手が触れた。
高速道路を降りて信号で止まった時。小林さんが、こっちを向いて笑顔でこう言った。
「本当は、ETCが付いてるから、料金所で支払いしなくても良かったんだ。だけど、助手席の彼女にはやってほしかったんだ」
「えっ、彼女……」
「ははっ、彼女は早かったかな」
そして、車は海に向かって走り出した。
「わぁ、海だぁ」
車の向かう先に、夕陽に輝く海が見えてきた。そして、車が海沿いの道を走り出した。
「結芽ちゃん。恋愛なんて、今は考えられないかな?」
小林さんの質問は、あまりにも唐突なものだった。さっきの信号待ちの時の、「彼女」って言ったの本気だったの?
車のスピードが落として、ゆっくりと海沿いの道を走り出した。小林さんが、わざとそうしてるみたい。
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