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そして、結芽側の窓が開いて風が吹き込んでくる。
「潮風を、感じるのも悪くないだろ」
「そうですね。風が、気持ちいい」
でも、何でだろう。潮風ってより普通の風って感じで、まったく潮の香りがしないんだよね。
それに何となくだけど、オジサンの整髪料みたいな臭いもするような……
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――ただいま――
あれっ、帰ってきちゃった。これから良いところだったのに……
整髪料で頭がベタベタになってる、座席に座ったオジサンが窓を少しだけ開けたみたい。それで、あんな臭いの風に感じたんだ。
あの後、あのまま車に乗ってたらどうなってたんだろう。二人で、砂浜に座って海を眺めてたのかな。
「それとも……」
考えてみたら、話しが上手く行きすぎてたし。騙される女の子って、あんな感じで簡単に騙されるんだろうなぁ。
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