初恋男に妄想

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  「おぅ、佐川じゃねえか。何でこんな時間に、駅に来てるんだよ。部活はどうした?」 「ダッシュ二十本の途中に、足を捻挫しちゃって。顧問に、医者に行けって言われてさ」  佐川…… 知ってる。  目の前を通りすぎた男子の事、結芽は知ってるよ。  佐川 信義  結芽の、小中学校の時の同級生。九年間の内、六年間は同じクラスだった。  佐川は、小学校の頃から足が速くて。とにかく、みんなの人気者だった。中学に入ると、陸上部で中長距離のエースになった。  ずっと、見てたなぁ。  芸能人や有名人のファンになり倒した、ミーハーな結芽。だけど、リアルに初恋って言ったら相手は佐川だったと思う。  特別に、イケメンって訳じゃなかった。だけど、足が速いってだけで人気があったし。結芽も、そんな理由で好きだった。 「そういえば、運動会の男女混合リレー。佐川からのバトンを受けた時、嬉しかったなぁ」
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