初恋男に妄想

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  「やばっ、本当に……」  濡れたくないから、駆け出した瞬間には夕立みたいに雨が強く降ってきた。 「げっ、マジに最悪だよ」  それでも、強く降りだしたのが駅の目の前だったから。そんなに、濡れないですんだんだけど。 「夕方まで、ずっと降るのかなぁ」  ハンドタオルで、頭とか拭きながら階段をあがって、改札を通ってホームについたら、傘を持ってる人ってあんまりいなかった。結芽と一緒だね。 「秋吉は、傘持ってこなかったの?」 「えっ……」 「久しぶりだね、秋吉」  そこには、学ラン姿で照れ臭そうな、佐川が立っていた。あの頃には、あんまり話せなかったのに。何でだろ、中学の頃と変わらない佐川がいるって感じた。  結芽の初恋の人。 「久しぶりだね、元気だった?」 「うん、元気だよ。てか、久しぶりじゃないんだよな。昨日、すれ違ったんだけど」 「えっ、佐川……」
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