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佐川は、昨日の放課後に駅のホームですれ違ったの、気付いていたんだ。だったら、何で今みたいに話しかけてくれなかったの。
「実は、昨日の放課後にさ駅のホームで見掛けたんだけど。同じ学校で、噂好きな三人組がいたんだ」
あっ、『トンチンカン』の事だ。
「あいつ等に、女の子と一緒にいるとこを見られると。変な噂を流されたりして困るからさ」
それで、結芽の前を素通りしたんだ。
そうだよね、あの三人に女の子がらみで何か言われたら。絶対に、面倒な事になるのは確かだし。
でも話したのは、それだけだった。
だって、何を話したらいいか分からなかったから。佐川とは、ちゃんと話すの何年ぶりか分からないし。結芽が、好きだったなんて気付かれたくない。
好きだった……
電車がホームに入ってきて、無言のままで同じ車両に乗り込んだ。満員電車だから、身体が自然と密着してるし。
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