初恋男に妄想

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  「いっ、痛い」 「秋吉、大丈夫か」  雨のせいか、いつもより混んでて、駅員に押し込まれるみたいに電車に乗った。無理やりみたいに、ドアが閉まって。佐川の胸に、顔を埋めるみたいな体勢のままで動けない。  やばいなぁ、何だかこのまま妄想に落ち込みそうな。そんな予感がする。  初恋の人を相手になんて…… ――妄想世界いってきます――      ・      ・      ・      ・      ・  佐川ってまだ、走ってるのかな。胸の辺りの筋肉ってか、佐川の胸がどっしりと結芽を受け止めてくれてる。  陸上じゃなくても、何か運動をしてるんだろうな。そんな体つきに感じた。 「秋吉…… 大丈夫か?」 「うん、平気」 「どうせ、動けないけどそのままで聞いてくれない」 「えっ、何……」  結芽の肩を、そっと両側から押さえられた。満員電車なのに、良く手をあげられたよね。
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