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「いっ、痛い」
「秋吉、大丈夫か」
雨のせいか、いつもより混んでて、駅員に押し込まれるみたいに電車に乗った。無理やりみたいに、ドアが閉まって。佐川の胸に、顔を埋めるみたいな体勢のままで動けない。
やばいなぁ、何だかこのまま妄想に落ち込みそうな。そんな予感がする。
初恋の人を相手になんて……
――妄想世界いってきます――
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佐川ってまだ、走ってるのかな。胸の辺りの筋肉ってか、佐川の胸がどっしりと結芽を受け止めてくれてる。
陸上じゃなくても、何か運動をしてるんだろうな。そんな体つきに感じた。
「秋吉…… 大丈夫か?」
「うん、平気」
「どうせ、動けないけどそのままで聞いてくれない」
「えっ、何……」
結芽の肩を、そっと両側から押さえられた。満員電車なのに、良く手をあげられたよね。
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