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停まってた電車が、ゆっくりと動き出した。そして、車内アナウンスが流れる。
『次は船橋、船橋。お出口は左側に――』
その時、腰の辺りを触ってた手が……
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――― 中断 ―――
「おい、オッサン何をしてるんだよ」
えっ、中断したと思ったら佐川が怒ってる。私の後ろに、スーツを着て鼻息が荒いオジサンがいる。
まさか、痴漢……
あの触られてた感触って、佐川じゃなくて後ろにいるオジサンの手だったの。
『船橋、船橋。お降りの方は――』
その時、電車のドアが開いて、雪崩みたいにみんなが降りていく。その瞬間、オジサンを見失った。
「くそっ、あのオッサン逃げやがった。秋吉、大丈夫か」
「うん、平気…… 触られてたの、腰の辺りだったから」
「なら、いいけど。いや、良くないな。ったく、あのオッサン絶対に許せねぇな」
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