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奇妙な同居生活
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
「美味しかった……」
「そう言ってもらえると、嬉しいね」
月が思いがけない食事に素直に感謝を伝えると、貧乏神はやっぱり優しい笑顔で頷いてくれた。
「あのさ……、お腹も膨れて、ちょっと余裕ができたから、きちんと話しておきたいんだけど」
「うん、どうぞ」
貧乏神の乾太郎は、てきぱきと食器を片付けながら、そのまま食器を洗い始めた。作業をしながらだが、月の話にはきちんと耳を向けているのか、月が語り始めると、じっと月を見つめていた。
結構――というか、かなり美形のその横顔で流し目のように見つめられると、月はなんだか気恥ずかしくなった。
「ええとさ、マジで貧乏神なの?」
「そうだなぁ。どうしようもなく貧乏神だ」
「何か証明できるものある?」
「……多分明日からは嫌でも信じるような状況になると思うよ」
「う゛っ……なにそれ、お金がなくなるようなことがあるってこと?」
「まぁ、そうなるねぇ」
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