モラトリアム

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モラトリアム

「小学生の女の子だって?」  帰宅した月は、乾太郎に阿吽の二人から聞いた情報を推理して聞かせた。  おみくじを持って行っているのは小学生の女の子かもしれない、と。 「池袋の神社に、小学生の女の子が一人で来ること自体変だと思うけど、おみくじを結んだヒモの高さ的に、可能性が高いと思うんだ」 「自信満々に言うねぇ?」 「自分で結んでみて分かったけど、あの高さにおみくじを括りつけるの、すごくめんどくさいし、やりにくいの。もし、自分がなんらかの目的でおみくじを解いて持っていくとしたら、解きやすい目線の高さものを素早く解くわ。そうしないと怪しまれるでしょ?」 「子供の背丈なら、自然に三段目の結び場に手が届くし、小柄な分、人の目につきにくいってことかい?」 「……推理するには、ちょっと証拠不十分だとは思うけど、手がかりが何もないし、可能性はあるでしょ?」 「まぁ……そうだねえ」  乾太郎は少し考えながら、月の意見に頷いた。 「小学生が学校帰りにあの神社に立ち寄るとなると、大体四時過ぎになると思う。私、その時間に狙いを付けて張り込みしてみようかな」 「でも、どうして小さな女の子がおみくじなんか、持っていくんだろうなー」     
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