モラトリアム

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 結局その日、神社に向かう夕方まで、東口を出たところにある家電量販店で、ノートパソコンを買いに行き、できるだけ保障がしっかりしたサービスを選び、購入を決めた。  もうその時点で、月の預金は危険域に突入していた。  今度数万円レベルの出費が来たら、サイフが空になるだろう。そんな状態でどこまでやっていけるのか――。  人は、心霊体験や超常現象よりも、リアルな金銭面の危機のほうが、背筋が凍る思いをするのではないかと、そんな気分でいっぱいだった。  借金だけはしないようにしよう。よくある話の若い女の子が借金を背に身体を犠牲にする、みたいな状況を想像してしまい、今朝のパソコンモニターばりに青ざめる午前なのだった。
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