あやかしたちと少女たち

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あやかしたちと少女たち

 夕方にはいる四時という時刻は、四月初めのこの時期はまだ肌寒い。  冷え込む身体をさすりながら、月は神社の隅から、おみくじの結び場を覗いていた。推理があっていたならば、そろそろ例の小学生がやってくるだろうと思ったのだ。 「ほんとに来るかなあ」  乾太郎がぼんやりとした口調で言った。右手にもった缶コーヒーに口を付け、甘いコーヒーを飲み干す。 「……来て欲しいところ……。昨日の今日で、またやってくるかも分からないけど……」 「毎日神社に来ているかも分からないのかい?」 「毎日かどうかははっきりしないけど、阿吽の二人はよく見かけるって言ってた。かなりの頻度で来てるのは確実よ」 「……と、噂をすれば……、あの子じゃないか?」  境内に、小さな女の子がやってきた。小さな手提げバッグを持っている。身長は百三十センチそこそこ。一人らしい。情報と一致している。 「……様子見ね」  囁くように言うと、乾太郎は小さく頷き、そしてにこりと笑ってから、月の腰に腕を回して抱き寄せた。 「ちょ、ちょ!? な、なに!?」     
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