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「きっと、慌てずともゆっくりと余裕を持って過ごしていけばいいって、伝えてるんだと思う。おみくじを引いた人に、相応しい詩だったはずだよ」
慌ただしい現代社会に於いて、忙しさに見落としてしまう幸福もある。それをこの詩は、戒めているのかもしれない。
たまにはゆっくりして、波に揺れる海藻でも見ていれば、気持ちもほぐれるんじゃないか、ということならば、月もなるほど、と頷ける。
「そっか。……事情は分かった。あのね、きみ。おじいちゃんの詩が燃やされちゃうのを嫌な気持ちは分かったよ。でも、これはやっぱりおみくじなんだ。これを読んだ人が、おじいちゃんの詩を見て、いいなあって思ったから、神様にありがとうと伝えたくて、ここに結んでいるんだよ」
「でも、燃やされちゃうのに」
「ゴミを燃やして捨てているわけじゃないんだよ。お焚き上げは、神様に、手紙を出しているようなものだ。おじいさんの詩も、神様のところに持って行ってもらっているんだよ」
「神様も、おじいちゃんの詩を詠むの?」
「そりゃもちろん」
乾太郎が諭すというよりは、明るく絵本を読み聞かせるように少女に伝えた。
事実、乾太郎は神様だし、おみくじは、元三大師に縁として届く。詩は、神様に届くのだ。
「まにまに……」
「そこ、ほんとに好きなんだね……」
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