あやかしたちと少女たち

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 少女の妙なこだわりを、月は少しだけジト汗を垂らして苦笑する。 「おじいちゃんも、そのつもりで、詩を作っているんだと思うよ」 「そっかな」 「だから、もうおみくじを解かないでいてくれないか」 「分かった」  少女は納得してくれたようで、ごめんなさいときちんと頭を下げて謝ると、少女が解いたおみくじをもう一度結び、一息をついた。とりあえず、依頼はこれで解決だ。 「でかした!」 「わぁっ!?」  不意に後ろから大きな声がして、戸惑いの中振り返ると、そこには神宮寺清こと、元三大師がふんぞり返って立っていた。  いつの間にやってきたのか。今回の依頼を解決したことに気が付いて、月と乾太郎、そして少女を見下ろしていた。 「その娘が、おみくじを解いていたのだな」 「ちょ、ちょっと神宮寺さん。急に出てきて驚かせないで! この子も、悪気があったわけじゃないの。叱らないで」 「そうはいかん。おみくじを解くというのは、冒涜だ。きっちりとお灸を据えなくてはならん」  厳しい表情で、圧のこもった声を向ける神宮寺に、少女は怯えていた。 「ご、ごめんなさい……」 「謝ってるんだし、許してやんなよ」 「しかしだな……」  渋い顔をしている神宮寺はいかにも頑固おやじという風采で、融通が利きそうにない。     
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