あやかしたちと少女たち

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「待ちたまえ。報酬だ」 「あ、わっ……」  ピン、と弾かれるようにして投げ渡されたコインを、月はとっさに両手で受け止めた。  両の掌の上に収まっていたのは、あやかし通貨の『五円玉』だ。 「まいどあり」  何の変哲もない五円玉。  人の金銭感覚からすれば、なんとも安い五円の報酬。  それが月にとって、どれほど高価な報酬になるのかは、結ばれた縁の強さに比例するだろう。  月は、受け取った五円を、乾太郎に手渡すと、軽やかに洋服のすそを躍らせて、神社から歩き去った。 「貧乏神よ」 「なんだい、元三大師」  少女と手を繋ぐ壮年の神宮寺が、乾太郎の背中に声をかけた。 「記憶喪失であることを、知らぬのか。あの娘」 「……まだ慌てなくてもいいさ」 「ふむ……。幼い娘を、一人きりにはしたくないものよな」  ぎゅ、と優しく、少女の掌を包んだ神宮寺は、優しい笑顔を少女に向けながら零した。  乾太郎は、「その通りだな」と呟いて、月の後を追うのだった。
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