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マヨヒガデートはモダンレトロでハイカラ浪漫
大学生活が始まり、金銭面での苦労は絶えなかったが、どうにかこうにか人並みの暮らしを送れていた春の日。
大学に通いながら、予定のない日はマヨヒガに赴く。そのサイクルに慣れ始めていたころだった。
以前、交通事故で怪我をしたネコの治療が済み、退院できることを知らされた月は、獣医からネコを受け取り帰宅していた。
この日に備えて、家はネコのための準備を整えている。ネコ用のエサ、トイレ、玩具なんかを用意すると、いよいよ月の預金は底が見え始めた。
ネコの籠に入れて家まで連れ帰って来た。獣医が言うには、前のようには歩けないので、日ごろから少しづつ歩くためのリハビリをさせたほうがいいとのことだった。
「ネコちゃーん、着いたよ。ここが今日からあなたの家だよ~」
籠から抱きかかえて、床に座らせると、キョロキョロと辺りを確認しながらも、その場をじっとして動かない。
後ろ足が弱々しく、ぺたりと崩れるようにして座り込み、前足だけで引きずるように移動するので、見ていると、痛々しくも思った。
「……元気になると良いな」
「完全に脚がダメになったわけじゃないんだ。必ず良くなるよ」
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