奇妙な同居生活

4/10
前へ
/314ページ
次へ
「まぁ、そういうこと。オレとの共同生活になるけど、それは勘弁してね」 「う……」  見た目は本当に紳士的な青年だ。優しいし、気が利く。料理の腕もいいし、主夫にするならこんな男性――と思わずにいられない。まぁ貧乏神なのが致命的なデメリットだが。  しかし、そう。男性なのだ。  年頃の月からすれば、どうしても気になってしまう。男性と一緒に生活するなんて、正直なところ緊張する。  高校生の時も、しっかりと恋愛をしてこなかったので、男性に対して免疫は高い方じゃない。男勝りな性格をしている月にとって、今までの男子は申し訳ないが、低レベルな相手という認識が強かった。  下品なジョークで盛り上がったり、女の子を値踏みしてはしゃいだり、下らない事で喧嘩をしたり――。全員がそうではないとは思っているが、どうしてもそういう男性が目につきやすかったので、月はあまり男性に好意を持つことがなかった。  だが、この乾太郎はこれまで出逢った男性とはちょっと違う。  色々と、違うところはあるが、月はただ一つ、乾太郎に対しての印象は、『話しやすい』という安心感があることだった。  今出逢ったばかりの相手なのに、警戒心をあまり与えない。     
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

577人が本棚に入れています
本棚に追加