マヨヒガデートはモダンレトロでハイカラ浪漫

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 食費に関しては、乾太郎が賄ってくれた。朝昼夕、外にいるときはお弁当まで用意してくれる。  趣味や洋服なんかのお洒落、化粧品や医療品……この辺りを満たそうとすると、我慢しなくちゃならないことになるわけだが……。 「そう言えば、キララちゃん。このネコを助けた時に服を一着ダメにしちゃったよね。良かったら、今日服を買いに行かない?」 「え? うーん……でも私お金ないし服もまだ着まわせるから、大丈夫だよ」 「オレが買ってあげるから気にしないで」 「え? かんたろが?」 「とは言っても、人間の服飾店じゃなくて、あやかしの服飾店になるけどね」  マヨヒガに立ち並ぶ沢山のお店の中に、衣服を扱う店もあるという。きちんとマヨヒガの店を見て回っていなかった月には、興味深い話だった。  あやかしのお店で服を買えるなんて、そんなに容易く実現できる話でもない。 「いいの?」 「もちろん、一度マヨヒガのことをきちんと案内しようと思ったし」 「じゃあ……甘えようかな」  服を買ってもらえるという欲望より、あやかしの店でショッピングを楽しめるという好奇心に負けて、乾太郎の提案に頷いた月だった。  家にサスケを一人にしておくのは少し悩んだ。まだ家に慣れていないし、何かあるといけない。     
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