マヨヒガデートはモダンレトロでハイカラ浪漫

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「……私の姿って、そういうふうに見えるの? ……かんたろは、ジャケットを着こなしてて、シンプルだけど、今風の人間社会の恰好をしてるよね」  月は普段着に特にこだわりをもって着ているものはない。店頭にあるマネキンが来ている服装を真似て、それを着こなしているだけだ。  所謂マネキン買いというファッションセンスではあるが、特にそれで困ったことはない。  今の月は、春に合わせたパステルピンクのシャツに白のカーデガンを纏い、明るめのスリムジーンズという組み合わせだ。没個性と言われてもしょうがないほど、ありきたりな服装で、目立つことはないと思っていたが、あやかしからすると、これも奇抜なのだろうか。 「月ちゃんの服装は、あやかしから見ても、そこまで奇抜にも見えないよ。ほら、原宿系っていうのかな? ああいうのは、ぎょっとするね」 「ふうん? 私はロリポップなやつ、嫌いじゃないけど。私が着たら、かんたろも隣歩くの嫌になる?」  特に、そういう服装を着る予定もないが、少し気になった。乾太郎の服装の趣味とか、好き、嫌いが。  乾太郎は、暫し月をまじまじと見つめてから、思案するように「ふむ」と唸った。  どうやら、原宿系で身を包んだ月を想像しているらしい。 「見てみたいかもね」 「えっ……、そうか? そうか、ああ、そうか」 「何回頷くんだよー」     
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