奇妙な同居生活

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 寧ろ……、どちらかというと、乾太郎のほうが、月に対して遠慮がちなところがある。 「あ、あのさ……私のあとに、お風呂入られるの、ちょっと恥ずかしい」 「えっ、あ、ごめん! じゃあ、オレ先に風呂行って良いかな。湯船がダメなら、シャワーにするけど……」 「大丈夫、お風呂、浸かっていいから。私、後にして」 「分かった。じゃあ、オレお風呂の準備するから」  そう言うと、照れたような顔を誤魔化して、鼻先を擦りながら乾太郎はバスルームに引っ込んでいった。 「……」  一人リビングでぽつんと残った月は、なにやら色々と不要な妄想が働いてしまって、ブンブンと首を振りたくった。 (これ、夢じゃないんだよね)  夢だったとしたら、このリアルさは異常だ。  信じられないことだが、これは紛れもない事実だろう。今、月は男と二人っきりで生活することになったわけだ。 (悪い奴じゃないみたいだけど……本当に貧乏になっちゃうのかな、私)  明日から嫌でも分かる、と彼は言った。正直、金がなくなるぞ、と言われてもピンとこない。  バイトももう決めている。なかなか時給がいいオペレーターのバイトだ。十分、月四万の家賃は払いきれる。  急にお金がなくなるとしたら、サイフを落とすとかそういうことになるのだろうか。     
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