酒呑童子の依頼

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 早くも数名、すでに仲間が出来上がっているようで、月もそのグループに誘われたのだが、講義の後一緒に遊ばないかと言われて、遊びに回すお金もない状況に、月は断るしかなかったのだ。 「……あやかしとの御縁を、乾太郎に渡してるけど、本当にこれで私生活していけるんだろうか……」  衣食住は乾太郎が保障してくれる。しかし、人の世は金銭がなければコミュニケーションを構築することもできないのだ。  お金は稼がなくてはならない――。貧乏税で、削られると分かっていても、やはり給与を獲得しなくては、このままではキャンパスライフに支障が出る。 「やっぱり、バイトしたほうがいいな」  できれば日払いの仕事がいい。貯蓄していると、あっという間に消えていく。宵越しの金は持たないというスタイルで、稼いだそのお金をその日の資金にそのまま当てていくしかないだろう。  スマホを操作しながら、日雇いの高収入な仕事を捜すと、女性用として並んだその仕事は、どこかいかがわしいものばかりだった。  やはり乾太郎から、貧乏税の対象にならないお金を、給料として貰うのが一番だろうか。  その支払いは、家賃や光熱費を払ってもあまりあるほどに貰えるのか。それは微妙なところだ。正直、あやかしの依頼をいくつか解決したが、自分で言うのもなんだが、いまいち大きな仕事を片付けたという実感はない。 「お金稼ぐって、大変だな……」     
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