奇妙な同居生活

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 異性と、一緒に生活するって、ムズ痒い感じがする。鼻先まで湯船に浸かって、ブクブク言わせた月は、のぼせているのとは別の熱さで頬を染めた。 「ってか、なんで貧乏神があんなにイケメンなの……?」  貧乏神って、普通はみすぼらしいおじいさんとかのイメージが強い。乾太郎を人に紹介して『貧乏神です』と言ったところで信じる人はゼロで間違いないだろう。 「か、かっこいいって、初めて思ったかも……男の人に」  男性アイドルや俳優を見ても、あまり惚れこんだことがない。かっこいいとは思うが胸が高鳴るようなことはない。  それが、ちょっと目の前に半裸の湯上り男性が、やってきただけで、ぽっぽと体温が上がってしまった。 「お、落ち着け。これは、私が今日とんでもないことを経験して、気持ちが揺らいでいるせいであって、冷静さを欠いているためだ。断じて一目惚れではない。貧乏は嫌い。オーケイ?」  自分に言い聞かせながら、月は湯船の中で身体を伸ばした。  すると、心地いいお湯が揺れて、ちゃぷり、と可愛い音をたてた。 「はぁ゛ぁぁー」  おじさんがするみたいな声が出た。考えてみれば、引っ越し疲れでクタクタだった。  そのまま暫し、湯船で身体を預けて、眼を閉じる。  気持ちのいいまどろみが、あっという間に身体を包み込んだ。     
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