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「うん。四十分以上入ったままだったから、長風呂なのかと思ってたけど、声をかけても反応がないし……」
「……ご、ごめん! 完全に、寝てた……」
慌てて、月は乾太郎に謝った。もし乾太郎が居なかったら、一人お風呂でのぼせ上がっていたかもしれないし、下手をしたら溺れてしまったかもしれない。
「見て、ないからさ」
「ん?」
謝る月に、なぜかバツが悪そうに、乾太郎がそんなこと言った。恥ずかしそうに明後日の方向を見ていた。
「え?」
「その……ごめん。早く服を着て。オレ、リビングで待ってる」
「うぉっ!?」
そこはキャア! とかだろうと自分で思ったが、そういう可愛い悲鳴がでないのが月という女性だった。
そうだ。自分は風呂に浸かっていたから全裸だったはずだ。それを抱え上げてバスタオルを巻いてくれたのは乾太郎だろう。
一気に、恥ずかしさが月を殴りつけた。
「んぐうううううっ!!」
真っ赤になって苦悶の声を漏らす。脱衣所で暫し悶絶して、月はひとしきり自分の間抜けさと迂闊さにのたうち回るのだった。
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