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天井を見ると、百鬼夜行を描いた画が、長い廊下に沿って続いている。
「前に来た時は、あの黒服のあやかしが急かすから、じっくり見れなかったけど……凄いね、この天井絵」
「あやかしたちにとって、百鬼夜行に自分の姿が描かれることは名誉なことでもあります」
多種多様な怪異が描きこまれたその天井絵は、なかなかの迫力だ。この絵が描かれたのは千七〇〇年代とのことでもう三百年も前の絵だと思うと、感慨深いものがある。
古のあやかしたちが描かれていて、勿論最近生まれたばかりの都市伝説である異世界エレベーターや異世界列車の『きさらぎ駅』は当然ながら描かれていない。
長い廊下を歩きながら、天井を眺めて進んでいく。上を見上げて歩くので、少し首が痛くなりそうだが、月はその絵画に魂を惹かれるように没入できていた。美術のセンスなどは分からないが、この天井は迫力があるし、見ていて面白い。
大きなヘビや、河童、一つ目の大きな顔、真っ黒な身体をした巨人や、首が長い三つ目に、提灯に目玉がある何かのマスコットみたいなあやかしも描かれている。
「……」
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