最強の妖怪『空亡』

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 にっこりと、乾太郎は微笑んでくれた。優しい貧乏神でほっとした新米の空亡は、親切な彼から、色々とマヨヒガのルールを教えてもらった。 「あやかしは、ここマヨヒガを利用するために、協会に加わることになる。そのために、協会から手形を貰わなくてはならない」 「どうやったら貰えますか?」 「あやかしとしての存在を認めさせるだけだよ。大丈夫、君のありのままを伝えれば基本的に手形は貰えることになっているから」 「あたしみたいな、生まれたばかりのあやかしも、いますか?」  少し不安だった空亡は、乾太郎に上目遣いで訊ねた。乾太郎は心地よい声で、「大丈夫」と肩を叩いてくれた。 「最近も、インターネットの掲示板なんかで、オカルトの話題から生まれたあやかしも多くいるんだよ。『くねくね』なんかはほんの少し前に生まれたばかりだよ」 「くねくねさんですね、仲良くなれるかなー」  最近でも、あやかしは生まれているのだと知り、空亡はほっとしていた。あやかしの世界は古の時代から続くものが多い。最上位のあやかしなどは、神社で祀られる神話の存在だから、インターネットから生まれたようなあやかしでも、きちんと認められるというのは、空亡にとって、安心に繋がった。     
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