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「日本神話を元にしたゲームだったようで、主人公は狼の姿をした神様で、その最終ボスが、ソラナキ――だったそうです。ソラナキは、百鬼夜行の最後に現れどんな妖怪も敵わない存在だと説明されていたらしく『最強の妖怪』として、認知されたのだそうです」
「例え、話の出所がどこであれ、人の世の話題から空想され、顕現するのがあやかしだ。誤解だろうが、最強だろうが、生まれた以上、あやかしに違いないだろう!」
「わ、私に言われましても……」
「クッ」
空亡、それは本来『くうぼう』と読む、ある特定の期間を示す言葉だった。夜明けである『一日の暦の切れ目』のことを指すのだが、それを百鬼夜行絵巻の夜明けと同一視して生み出されたのが『ソラナキ』なのだろう。
乾太郎は山田から離れると、そのまますぐにマヨヒガから出て、人間界に飛び出した。
目的はただ一つ、空亡を捜すことだった。
乾太郎は、それから数多の人間に憑りつきながら、その憐れなるあやかし、空亡を捜し始めた――。
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