鬼の求婚

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「そうだ……、私、百鬼夜行の最後尾の太陽を見て……」  自分が何か大切なことを忘れてしまっているのだと知って、月はその要因に百鬼夜行が絡んでいると推測した。そしてその百鬼夜行の絵をみたくなって、マヨヒガの最上階に描かれた天井絵を見て、気絶したのだ。  そして、月は、百鬼夜行の最後に描かれた太陽が『空亡』という妖怪であることを知り、忘れていた――いや、封じられていたとでも言うべきだろうか。  その正体が分かったのだ。月が忘れ去っていたものは、その妖怪、空亡で間違いないと。 「空亡……。まだはっきりしないけど、私にとって何か大切なものだったはず……」 「月さん、実は……酒呑童子様が、眼を覚ましたら顔を出せと……」 「四十万飛燕が?」 「は、はい。実は、意識を失った月さんをここまで抱きかかえて運んでくださったのは、四十万さまなのです」 「……もしかして、この部屋って……?」 「四十万さまの寝室です」  何かあるとは思っていた。酒呑童子が、態々手の込んだことまでして月に『百鬼夜行絵巻』を調査しろと依頼してきたのには、何かしらの裏があるだろうと考えていた。  事実、月は百鬼夜行の天井絵を見て、隠されていた記憶の断片に触れることができたのだ。     
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