貧乏神の能力

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 しかし――、愛嬌のある乾太郎のことを考えると、これからの生活がなんだか少しだけ色づくような気もしなくもない。  どっちが自分の望みなのか。それは今の月にはハッキリと答えを出せない問題だった。  ガチャリとノブを回してドアを開くと、そこにはやはり、乾太郎が居た。  夢のような出来事は、夢ではなかったということだ。 「おはよう」 「おはよう、朝ごはん、食べる?」 「え、また作ってくれるの?」 「うん。と言っても昨夜のご飯のあり合わせだけど、軽くで良いならTKGにする?」 「あ、TKG、好き」  卵かけご飯は、大好きだ。特に朝はあんまり食欲がないし、卵かけご飯は朝のお腹にばっちりだった。 「オレさ、TKGに焼きのり乗せるんだけど、やってみる?」 「え、そんな手間かけるんだ」 「手間っていうほどのもんじゃないだろー。ちぎったノリをのっけるだけ」 「私、それさえ手間に思っちゃう。卵かけて醤油垂らして終わりだー」 「あはは、じゃあ、今日は初ノリTKGだな」 「うん」  炊飯器からご飯をお茶碗につぎ、少しだけくぼみを作ると、手慣れた様子で卵を割る。乾太郎はそれをご飯のくぼみ部分に落とす。  それからパックに入っている焼きのりを無造作に千切ってパラパラと振りかけると、その上に少量の醤油を垂らした。 「はい、おまちどう」 「あ、ありがと……」     
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