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「うううっ、頭がっ……! 割れそうっ――!」
ズキズキと言うより、グサリ、とナイフで内臓をまさぐられているみたいな痛みが、頭の中で暴れ回って、月は頭を抱えて苦しみもがく。
乾太郎が月を抱きしめ、名を強く呼びかけていくが、意識がどんどん引き千切られていくようで、月は乾太郎の腕に縋り付いていた。
「空亡の記憶が……!」
「ルナ! ルナ、しっかりしろ! ルナぁっ!!」
乾太郎の声が遠のいてく。月の中にあった、大きく欠けていたモノが、今、埋まっていく。
そしてそれは、痛烈な哀しみを月にぶつけていき――。
そして、月はガクンとくずおれた。
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