悪縁契り深し

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 溜まりに溜まった厄が、少女(ルナ)に纏わりつき、『天中殺』と呼ばれる最悪の運勢を招く。  厄は、運命の歯車の錆びのようなものだ。  人やあやかし、社会に暮らす全てのものが、絡み合う時、零れ落ちるクズ――。  会者定離の理に、一期一会、合縁奇縁。  すべては運命という石ころが転がって形作られる『偶然』という名のコトワリだ。  その時の出来事は、偶然と呼ぶには、あまりにも運命が重なっていた必然とも言える。  貧乏神である乾太郎もその場にやって来ていた。  空亡を捜し、多くの人々に憑りつきながら、迫害追放された哀れなあやかしを追っていた。  その時の乾太郎は、とある会社員に憑りついていた。  貧乏神に憑りつかれたことで、男は金に困り、会社の金を横領し、逃走している最中であった。  猛スピードで車を走らせ、その男は、遠くへと逃げようと画策していた。  乾太郎も、最早この男もここまでかと、堕落した人間の末路を曇天のような眼で見ていた。  一方、月は縋り付いた男性が、驚愕しているだけで、ソラナキのことを救ってくれないと分かり、また駆け出した。  病院でも警察でもなんでもいい。とにかく、ソラナキを救ってくれる人を捜したくて、雑木林から飛び出した。     
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