月が綺麗

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 そして、今度は可愛らしいキスの音を響かせて、乾太郎の唇が優しく襲い掛かって来た。  もう、月は乾太郎の成すがままに、精一杯彼の愛情を受け止める。あまりにもかっこいい貧乏神に、負けないように、可愛い自分も見せたくて、月は、一生懸命、乾太郎に反応を返して見せた――。  長く、柔らかい、宵の月光が、ヴェールのように下りている夜だった。
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