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それが自分の命を救ってくれた空亡へできることだと考えた。
二人は、朝食を終え、その日マヨヒガへ行くことを決めた。マヨヒガの最上階、酒呑童子の間へと。
四十万飛燕との決着を付けるため。
異世界エレベーターの奈和に話を付けると、彼女も賛同してくれた。そして、蔵馬も仲間に加わってくれた。
マヨヒガの入口で、月と、乾太郎、蔵馬、奈和は話し合い、作戦を練ることになった。
「勝機はあると思う」
そんな風に言ったのは蔵馬だった。
一同は彼の顔を見つめて、言葉の続きを待った。
「酒呑童子殿は、最上級の妖怪だ。普通に力勝負をしたとしても勝てないだろうが、彼が唯一恐れた存在が今は傍に居る」
「……それって私?」
「そう。空亡の能力を、酒呑童子殿は恐れた。空亡にとんでもない能力があったことは、彼自身の口から語られているんだろう?」
蔵馬は確認するように月に視線を向けた。
確かに、四十万飛燕は、空亡は『最強』の力があると語っていた。
月は蔵馬にこくんと頷くが、その力を自分が秘めていると言われてもいまいちピンとこない。
「ちょっと待てよ、蔵馬。これはオレと酒呑童子の勝負だ。ルナを担ぎ出すつもりはない」
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