五円玉のヒミツ

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「何だって?」 「出ない。だってこの部屋、ペット可だもん」  月の発言に、乾太郎が面食らったような顔になった。 「きみは……、きみはまさか、あのネコと一緒にまだここで過ごすつもりなのか? 分かっただろう、オレの貧乏神の効力が」 「何よ、出ていってほしいの?」 「…………」  押し黙った乾太郎を見て、くすっと小さく笑った月。やっぱりという気持ちがあった。  乾太郎は、月が出ていくことは望んでいないらしい。 「……生活はどうするつもりか、考えているのか?」 「まだ始まったばかりじゃん。ちょっとトラブっただけで、いきなり全部やめちゃうの、私キライなんだよね」 「……変な子だなぁ、きみって」 「貧乏神のほうが、オカシイわ」  そして二人で少しだけ笑いあった。 「服一着ダメにしちゃったなー」  ネコの血がべっとりとついていて、洗ってもきっと落ちないだろう。残念だが、今日着ていた服は捨てるしかない。 「明日、服買ってこようかな。またお金がなくなっちゃうんだろうけど」 「……キララちゃん。少しオレの話を聞いてほしい。真面目な話だ」 「なに? 改まって」  深刻な様子の乾太郎に、きょとんと首を傾げた月は、少しだけ背筋を伸ばした。     
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