五円玉のヒミツ

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「な、なんか至れり尽くせりなんだね」 「だが、人間社会で暮らしていくには金がないことは厳しい。ここの家賃だって払えなくなれば、追い出され、無一文のまま貧乏神の加護も失くしてしまうことになる」 「うわ、泣きっ面にハチ」 「で、さっきの話に戻るんだけど……ちょっとキララちゃん、小銭ある?」 「え、何早速お金を要求するの?」 「いやいや、そうじゃない。小銭をテーブルに出してくれ。全種類あると良いんだけども」  何をするというのか、不審に思いながら、月は小銭入れを鞄から取り出して、中の小銭を一通りテーブルに並べて見せた。  五百円玉、百円玉、五十円玉、十円玉、五円玉、一円玉――。これで全種類の日本国硬貨が並んだだろう。 「その中で一つだけ、仲間はずれがあることに気が付くかな」 「え? 仲間外れ?」  思いがけないことを言われて、並んだ六種類の硬貨をまじまじと見つめた。  大きさはそれぞれ違うし、重みも違う。中央に穴が開いてるのが仲間外れかと思ったが、五十円も、五円も穴が空いているから仲間外れとは言えない。  なんだろうと腕を組んで思案を繰り返したが、やがて、あることに気が付いた。 「あれっ」     
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