五円玉のヒミツ

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「ともかく、オレはきみとまだ、一緒に暮らしたい。……だから、少しズルかもしれないが、キララちゃんには一つ提案がある」 「な、なに?」 「仕事をしてみない? あやかしの、仕事」 「あやかしの、しごと?」 「うん、さっきも言ったけど、実はこの国は秘密裡に怪奇現象を容認している。オレみたいに普通にこの世界に交じって暮らしている怪奇もたくさんいるんだ」 「そ、そうなの?」 「そういう連中から、依頼を引き受けて、報酬を貰うんだ。それをオレに渡してくれたら、それに該当する金額分、キララちゃんの人間社会のお金に還元できる」 「え? どういうこと?」 「あやかしたちは、あんまりお金でやり取りはしない。大抵報酬は、物を分け与えることが多い。キララちゃんがあやかしの悩み解決をしたら、きっと彼らは何かをきみにくれるだろう。それをオレにくれ。それに見合う、日本円を、還元して手渡そう。その金は貧乏神の能力の及ばないお金だ。それで家賃だったり、必要な費用に充てると良い」 「還元って、そんなのできるの?」 「人間社会にも、いくら買い物をしたらポイントに還元する、とか、キャッシュバックとかあるだろー?」  もっともらしいことを言ったようだが、妙に俗っぽくて、神の威光もなにもあったものではない。     
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