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「いいかい、確認だ。君はここで最低でも家賃を払えるだけの四万円を毎月稼ぐことが必須だ。あやかしから依頼を受け、あやかしから報酬を貰う。それをオレが換金する。オーケイ?」
「オッケイ」
「勿論、四万円だけじゃ家賃に消える。光熱費や色々な生活費用、入用になるだろうお金は全てここで稼がなくちゃ、人間界で稼いだ金はオレと一緒に居る限り消えていく。分かったね?」
「結局、なにかしらの金銭トラブルに巻き込まれるのは避けらないか……」
「あの部屋で生活する以上はね」
「いいよ、覚悟してたし。こんな抜け道があるだけ、まだマシだ」
「逞しいねぇ」
「貧乏人はいつだって逞しいもんよ」
「それ、オレが笑っても許してくれる?」
「かんたろだけには、笑われたくないかな。ふふっ」
苦笑した月の笑顔に、乾太郎は目を眇めた。自然と、柔らかく口角があがってしまう。
世知辛い人の世のなかで、これから彼女はきっと色々な苦難を背負いこんでいくだろう。
それは貧乏神である自分のリスクのためだ。貧乏神には、誇りがある。憑りついた人の金銭を奪いはするものの、それ以外の幸せは与えてやりたい。それは彼の確かなエゴから生まれるものだった。
人は、お金が全てではない。幸せはお金がなければ獲得できない。そんな常識を打ち破ってくれるヒトを求めていた。
もしかしたら、この月が、それを見せてくれるかもしれない。
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