あやかしインベスティゲーション

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「蔵馬、この子は人間の雲母月ちゃん。オレの同居人で、このインベスティゲーションの調査員だ」 「初めまして、よろしくお願いします。和泉さん」 「ああ、よろしく。キララルナさん」 「……月、でいいです」  フルネームで呼ばれると、自分の名前のメルヘンチックさに、サンリ〇のキャラクターかと思ってしまうので、月は蔵馬に呼び捨てを希望した。  蔵馬はこくりと頷くと、座布団の上に正座をした。対面する形で、月と乾太郎が姿勢を正す。 「じゃあ、改めて相談を聞こうか」 「……僕は、紹介された通り、疫病神だ。嫌われ者の代名詞であるあやかしではあるが、れっきとした神でもある」 「貧乏神と、同格」  乾太郎が、説明を補足したが、月にとって、その情報は別にどうでも良かった。  それより、蔵馬の一人称の『僕』に、ギャップを感じて、少し萌えた。 「疫病神は、不幸をもたらす神として伝えられている。しかしそれは誤解であって、世の中の不幸を拾い集めて回収しているだけなのだ。そのため、僕の傍によると不幸が伝染してしまうだけなんだ」 「え゛」  思わずずりり、と身を引く月に、乾太郎がすり寄って、「オレが居るから大丈夫」と囁いた。     
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