あやかしインベスティゲーション

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「僕は不幸を集めて浄化している。不幸が溜まり過ぎた人は、早く回収してやらないと命にかかわってしまうこともあるからね」 「なんだか、ゴミ拾いのボランティア活動みたい」 「それなー」 「それで、何が問題なの?」 「ストーカーに毎日つけられて困ってるんだ」 「…………えぇ?」  至極まともな表情で蔵馬は言ったが、月はがくんと脱力した。どんな不可思議な依頼を出されるのかと身構えていたのに、思った以上に現実的でショボかった。いや、ストーカー犯罪自体はショボくはないが、一応厄神様ともあろうものが、ストーカーに追われて困っているというのが、ショボかった。そういうギャップは要らなかった。 「か、勘違いしないでくれ。別にストーカーなんて怖くはない。僕はこれでも柔道黒帯だ」 「あ、そこは神通力とかで対処するんじゃないんだ」 「あと実は柔道黒帯って、そんなに凄いことでもないから」 「相談者に対して、厳しくないか。……優しくしてほしい」  しょんぼりしだした蔵馬に、月はオホンと咳払いをひとつして場の空気を整えると、一度話を整理した。 「ええと、和泉さんは、不幸を集めて回っている仕事をしているけど、そんなあなたにストーカーが付いてしまったってことでいい?」     
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