ようこそ、ボンビーガール

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「地縛霊なんてそんな低俗なんじゃないよ」  そう言ってへらへらと間抜けな感じで笑う彼は、手をぱたぱたとさせて否定した。幽霊にしては妙に存在感があるというか、人間臭い。  それに身体が透けているとか脚がないとか浮遊しているとか、そういうのもない。  本当に、普通の人間にも見える。 「じゃあ、自己紹介しなさい!」 「ああ、そうだね。これから一緒に生活していく仲だし」 「私は認めてないけど」  月は、わざと強気な態度で居た。そうでないと、状況に気圧されると思ったのだ。本当ならぶっちゃけ、怖い状況ではないか。無理やりにでも勇気を奮い立たせて強気に出てないと、竦みそうだった。  そんな月の警戒心を慮ってか、青年は、ゆっくりとした動作で、月から距離を取り、お辞儀した。姿勢のいい、気品のあるお辞儀は、ジェントルマンな好青年だった。 「オレは勘解由小路(かでのこうじ)乾太郎(かんたろう)。この部屋に憑りついてる貧乏神」 「なに? なんて言った?」  聞きなれない名前に眉を顰め、その後に続いた聞き捨てならない単語に、月は食いついた。聞き間違いならいいのだが、と少しの期待も込めていた。 「カデノコウジ・カンタロウ。好きに呼んで良いよ。キララちゃん」     
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