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「惚けるな、こっちはネタが上がってんだよォ!」
「ひい、勘弁してえ!」
「ちょっと、ちょっとキララちゃん、それじゃ酒呑童子も怯えて竦むよ」
流石に乾太郎が後ろから月をなだめて、眼鏡女子から引きはがす。
何が何やら分かっていない眼鏡女子は、おどおどして月と乾太郎を見比べていた。
「そこの角から、和泉さんのことを窺ってたでしょ?」
「和泉? ……あのスーツの男性、ですか?」
「そうよ」
ストーカーを捕まえたことで、和泉もスマホを閉まってこっちにやって来た。
「この子がストーカー?」
「違います、確かにあなたのこと、追いかけたけど……」
「ストーカーじゃん!」
「だ、だって追いかけたの、今日が初めてだし……」
「……え?」
眼鏡少女の言い分に、月たち三名は顔を見合わせた。
「今日が初めてって……ホント?」
「ほ、ほんとです。しょ、証明はできないけど」
「……いや、本当のことを言っているよ。オレが保障する」
乾太郎がまじまじと眼鏡少女を観察してそんな風に言った。仮にも神様からそう言われたら信じるしかない。
しかし、だとしたら当然の疑問が残る。
「初めて……なんで、この人を尾行しようと思ったの?」
「そ、それは……さっき電話してた時の声で……」
「電話の、こえ?」
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