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「キララちゃんって呼ぶなぁ!」
キララというのは、月の苗字だ。そういう苗字で代々やってきているので文句も言えないが、可愛すぎるこの名前があんまり好きじゃない。というか嫌っていた。これが本当のキラキラネームだ。
「ってか、そうじゃない! び、貧乏神って言った!?」
「言ったー。オレ、貧乏神」
「朗らかに言うなぁぁぁぁあ!」
にんまりと人懐こそうな顔をして、胸をはる貧乏神は、本人からそう名乗られてもまったく信じられない。
「じゃあ、まさか……この部屋の家賃が四万円で……それを払えなかったっていうのは……」
「あーうん。前の住人ね。すっからかんになっちゃったから」
「でてけえー!!」
ずびしっ! と玄関に指を突き付ける月に、困った様な顔をする乾太郎は、ごめんねと軽く謝っただけだった。
「無理なんだよ。この部屋にくっついているから。出かけるんなら、この部屋の住人……つまり君と一緒にだったら、出ていけるけど」
「ついてくるなっ!」
「……まぁまぁ落ち着いて。とりあえず、ごはんにしようよ。冷めちゃうからさ」
「こ、このご飯……食材はどうやって調達したの?」
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