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消えたおみくじ
上京してきて予想だにしなかった生活が始まることになったため、月は考えていた東京の暮らし方を見直す必要が出てきた。
まず、何と言っても務める予定だったコールセンターのアルバイトは辞めざるを得ないということになった。
残念ながら、人間社会のお金を稼いでも貧乏税で失われてしまう。
だから、アルバイトに時間を割くよりは、『あやかしインベスティゲーション』として働かなくてはならない状況に立たされた。
「……かんたろ、私明日、大学の入学式なんだけど」
「ああ、もう四月だねえ、スーツは?」
「大丈夫、アルバイトは辞めることにしたけど、これからは私も忙しくなるから、一日中かんたろと一緒にはいられないからね」
「キララちゃんが来るなと言うなら、行かないし、来てほしいと望めば、オレはいつでも傍に現れるよ。部屋と主に憑りつくのが貧乏神だ」
「花の女子大生だって言うのに、全然気分が盛り上がらない……」
「サークル活動や友人関係、専門的な知識の獲得。大学生活は今後の人生を謳歌するためにとても重要だよ。大丈夫、キララちゃんならうまくやれる」
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