池袋の地下、マヨヒガの商店街

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「人間には発行しないからね。その代わり、あやかしからのお墨付きであればマヨヒガへの参加は許可されてるから」 「私は、かんたろのお墨付きってこと?」 「そう、オレが唾を付けた女の子だから、他のあやかしも手を出しては来ないから、安心してね」 「唾って……」  廊下を進み、二階への階段が見えた。そこを上らず、まだ真っすぐ。  階段から二つ目の衾。それを乾太郎がおもむろに開いた。 「ここがオレたちの根城になるかな」 「和室だね」  まさに、旅館の客室のようだ。六畳ほどの畳張りの部屋に障子の薄い紙から明かりが差し込んでいる。そこに窓があるということだろう。古ぼけた箪笥と、押し入れがあり、座布団が二枚敷かれている。 「狭い部屋だけど、事務所として使うなら十分だろー」 「さっきも言ってた、調査員の仕事するってことでいいの?」 「ああ。カッコよく、『あやかしインベスティゲーション』ってとこかな」 「なにそれ、男の子みたいなネーミングセンス」 「男の子だもんなぁオレ」  乾太郎は、くくっと、喉で笑った。貧乏神のくせして、随分少年みたいな態度をするから、月はなんだかしょうがないやつだなぁという気持ちになってしまった。     
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