5人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーー
「い、一瞬で終わった…」
予定されていたバトルは影狩りで最後だったらしく、あとは個人のフリー対戦のみになった。
あっさりと終わった影狩りのバトル。しかし今回は『影狩り』は行われず、影狩り自身はバトルが終わったと同時にフィールドから降りて出ていってしまった。
「…あれ、そういえばオレ、ここに影法師のこと聞きに来たんだ」
影狩りですっかり忘れていたが、メールのことを失念していた。
また新たにメールが届いていないか確認するが新着はない。手詰まりになってしまったが 、ものがものなだけに周囲に聞きまくるわけにはいかない。
仕方なしに出口へ歩く。今日はとりあえず家へ戻り、また新しくメールが届くのを待つしかない。
データショップの方へ戻ると無愛想な店員と目が合う。合ったのは一瞬ですぐに反らされた。反射的に店員の視線を追いかけると、そこにはまだ影狩りの姿があった。
その姿を目に入れた瞬間、心がざわめきだす。
聞くなら今しかない。
『何故人の影法師を奪うのか』
きっと踏み込んではいけないことだろう。
けれど影法師で遊ぶ者としては、どうしても聞きたかった。
ゆっくりと一歩ずつ影狩りに近づく。
あと数歩という距離で足を止め、口を開いた。
「影狩りはどうして、影法師を憎んだ眼で見るんだ?」
影狩りは振り向くと影法師を見る同じ眼でオレを見た。
.
最初のコメントを投稿しよう!