プロローグ

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「ぐあああああっ!!」 《ライフゲージが0になりました バトルが終了します》 《勝者 アンノウン》 ある真夜中の地下フィールド、一つの勝負が勝敗を結した。 片方は大きな大会にも出場している実力派、片方は中学生、年端もいかない子供。 誰が見ても結果は分かりきっていた。しかし勝利したのは名もないプレイヤーであった。 「アンタのデータは消去させてもらう」 「ひっ、オレのシャドウが!!」 子供のシャドウが敗者のシャドウの首を掴む。 途端に捕まれているシャドウにノイズが入りはじめ、その瞬きをした瞬間には一体のシャドウしか立っていなかった。 「あ、ああああああああ!!!」 持ち主は嘆く。共に戦い続けた相棒を失った悲しみで。 そんな敗者に侮蔑の目線を送り、振り返らずに出口へ歩く。 分身を奪うという所業に対する罵倒も、対戦者への敬意も表さない態度に対する嘲りも、勝者にとっては小鳥のさえずりも同然である。 唯一、畏怖を込めたその言葉に反応する。 「あれが噂の通り魔『影狩り』!!」 扉が閉まる刹那の間、その子供は月の光を浴びて怪しく笑った。 .
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