第3話 データの行方と謎

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「最初に俺が全て説明していくから質問はその都度しろ」 「おう」 勝負を決した後、カランとの情報共有が行われた。 場所はアンダーフィールドのままだが、防音や人が立ち入らない事を考慮するとここがいいのかもしれない。 まずは両者による今現在提示できる情報の提供。 カランはヴィワーズ社の思惑やデータの事を中心に、オレはおじさんの事について、そしてエスペランサが作成された時に関する情報を出来る限り思い出せとのこと。 「体感型仮想対戦『シャドウバトル』を発表した事によって多大な利益を出したヴィワーズ社、それは表の顔で裏ではその技術を応用して仮想兵士を量産しようとしている。 これは話したな?」 「うん」 おじさんが戦争兵器を作っていた。 細部の違いはあれど、これは一貫して間違いないだろう。少なくともそれに関係していたのはシャドウの作成に携わっていた事で明白だ。 「その仮想兵士のデータは12に分かれていて、その全てが子供のVRデータを元に作成された。このデータは神話に登場する奈落の神になぞらえ、『タルタロスデータ』と呼ばれている。 これが世界を奈落へ突き落とすデータと知っていながら名付けるとは悪趣味だ」 吐き捨てるように言うカランの顔は無表情ながら嫌悪に満ちていた。 オレやカランが持つデータを総称して呼ばれる『タルタロスデータ』。 聞くところによるとリブラは対人戦闘用、カランが持つアクアリウスは砲撃用と言った感じでそれぞれの分野に分かれているらしい。 「今の段階で消去や確認出来ているのはオレとカランのデータ以外あるの?」 「消去済みは四つ。所在が分かっているのはお前のリブラ、俺のアクアリウス、万が一の備えとして別枠で所持している『サジタリアス』。ヴィワーズ社に保管されている『レオ』。他は行方不明だ」 8個まで確認出来ていて残りは4つか。すでに4つも消去されているのは痛いけど8個もあればあのロックをだいぶ解除できるし、まだいい方かな。 それにカラン曰く、『ラグナロク』は今は放っておいて良いって言ってるし質問しても返って来ないだろうから置いておこう。下手につついてカランの気が変わったら大変だし。 .
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