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「なんで子供限定?大人の方が素材にしやすいんじゃないか?ほら研究員とか」
規模を考えると研究員も大勢居ただろうし、子供を12人も集めるよりそっちの方が効率が良さそうなものだが。
「素材は確かに多くあるが、それだと後の進化が鈍くなるんだ。
データと言えどもアップデート、人間で言う成長はピークを過ぎた大人だと対応仕切れなくなる。故に頭脳、体力、精神の伸び代が期待される子供が適任だったんだ」
ふむ、なるほど。子供向けとして対外的な理由で選んだ訳じゃないのか。ん?待てよ、それって実験段階で既に仮想兵士のプログラムを子供のデータで作成する案を出ていたってことか?
だとしたら影法師ってまさか……いやそうじゃない、まだ決め付ける段階じゃない。もっと深く話を聞こう。
一度深呼吸で思考を止める。
目の前の可能性に飛び付くのはダメだ。少ない情報で物事を決めつけてしまえば、それは憶測であって真相ではない。
真相を得るためにも、今はカードを引き続けなければ。
「でも普通に遠隔操作のロボットなり人工知能でもいいと思うんだけど?その案は出なかったの?」
「ああ、AIを搭載するって話も合ったがそれはいざというときの制御が難しくなるからと否決されたらしい。ロボットなんかも何故か案にすら上がらなかったな」
ロボットは案にすら上がらなかった…。つまり『人間が考え戦う』というのが重要なのか?
カランは『自身の体に影と呼ばれる質量を持ったデータを纏う事』が元のシャドウバトルだと言った、つまり目の前には端末やバーチャルパネルではなく同じく影を纏った影法師が存在する事になる。それはもう…。
行き着いた思考に背筋が冷える。
これ以上考えるのはよそう。普段使わない頭を使うと気分が悪くなる。
ネガティブな事を振り払うようにため息をつく。
「そもそも戦争うんたらかんたらの時点でいざというときってなんなのって感じなんだけど」
やれやれといった感じで肩をすくめる。
戦争という物騒な単語が出ているのに、これ以上のいざというときはどういう状況だよ。
そんなオレに呆れた視線を寄越すのはカランだ。
「……お前変なやつだな」
「それカランに言われたくないけど」
ストレートに罵倒されて思わず言い返してしまう。いやでもこれはカランが悪いだろう。
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