第3話 データの行方と謎

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「どういう意味だ。 いや、さっきまで大泣きしていたくせに話が早いな、と」 「うーんそれ言われたらそうなんだけど…」 というかあれは痛いから泣いてたんだけど、とは言わない方が良さそうだな。泣いた事実は変わらないし。 「混乱していたのは事実だけど、それ以上にエスペランサが複雑な立場であることが悲しかったんだ。 ずっと一緒に居たのに気付いてあげられなかった。プロテクトのことも、ラグナロクのことも、ずっと知っていたのに理解が出来ないからって見ぬふりをしてた。 だからせめて真実を知りたい。オレの自己満足だとしても、エスペランサの贖罪になるならなんでもやりたい。エスペランサはオレの大切な友達なんだ」 こうやって言葉に出すと照れ臭いけど、これは紛れもなくオレの本心だ。カランにとっては気持ちのいいものではないと思う、だけど嘘でないならはっきりと言った方がいい。 「理解できないな」 案の定一刀両断された。まあ理解されようとは思ってなかったけどさ。 「続きだ。 タルタロスデータはヴィワーズ社によって厳重に管理されていたが、一年前のある日突然データが流出した。理由は未だに分かっていないが、おそらく内部に高槻博士の手の者がいたのではと噂されている」 「おじさんの?でもおじさんは6年も行方不明だよ?」 小学生に上がる前におじさんは姿を消した。 エスペランサをもらった数ヶ月におじさんは行方不明になったのでその辺の記憶はちゃんとある。 「そうか、世間ではそうなっているんだったな」 「え?」 今不穏な単語が聞こえた気がする。 『世間では』?一体どういうこと? 世間じゃないところ、一部では現在の状況が明らかになっているってことか?だとしたらその一部は?そんなの決まってる。カランが知っているとなれば、あそこしかない。 「データはお前みたいな例外を除いて、公式大会の優勝賞品だったり、限定品として発売されてたりと一般人に流れている。 それをさっさと集めて消去が当面の目標だ。もちろんヴィワーズ社も総力を上げて探しているらしいから危険が伴う。すでに1つは回収されているしな」 「そうか」 誤魔化されたかはぐらかされたか分からないけど、カランは言う気は無さそうだ。 …じゃあ言う気がないなら何故口を滑らせた? .
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