第3話 データの行方と謎

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狙われているなら警戒を怠らないだろう。それもあんな形で襲撃されたのだ、もしかしたら以前からずっと。なら言葉一つで足がつく可能性をカランが考えないわけない。 多勢に無勢、不利な状況下で初歩的なミスをするか?カランはそんなミスをするほどバカじゃない。そうだったら既にヴィワーズ社に連れ戻されているはずだ。ならミスじゃないとしたら、やっぱりそうだよな。 「消去じゃなくて収集ね。所在が分からないんじゃ動けないんじゃないか?」 「正確に言えば『所有者の所在』だ。 何人かは地方から公式戦に参戦した人間だからな」 オレ、試されているのか。 ヒントを与えてどこまで考えきるのか、どの程度予測できるのか、どれだけ選択肢を用意できるのか見定めている。考えすぎでいても疑いすぎではない。 カランには協力を許してもらえただけだ、認めてもらえたわけではない。それを忘れるな。 「地方の腕の立つプレイヤー、なぁ」 関東じゃないなら難しいな。大会側だって出身地なんて記録しないだろうし。でも公式戦で優勝するぐらい強いなら各地方の大会でも有名になってそうだけど…。 繋がりがありそうな人といったら。 「あっ」 「あ?」 そうだ、あいつがいた。 「オレ心当たりあるかもしれない」 「は?」 端末を起動してある人物に連絡を入れる。用件だけを入力して送信すると間髪入れず了承の返信が来た。 早いのはいいけどあいつ授業サボってないよな? 「カラン、心当たりの子に連絡入れたからこっちに呼んでも大丈夫?」 「それは構わないが…誰に連絡を入れたんだ?」 現在地の位置情報を送信して後は待つだけ。 心当たりどころかあいつがデータ持っていそうだな、過去の経験からして。去年はタイトル総なめってぐらい記録出してたし。 「不知火龍人、去年の関東大会の優勝者だよ」 やはり持つべきものは良き友人だ。 .
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