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「うわぁあああ!」
《戦闘不能状態になりました バトルを終了します》
《勝者 エスペランサ》
「ん~やったね!
大丈夫か、ヒロキ?」
ここはアマギシティにある中学校。その中に併設されたフィールドに少年はいた。
専用ゴーグルを外しながら勝者である少年は、対戦相手に手を差し伸べながらカラカラと笑う。
少年の名は光鳴秋良。
シャドウバトルで遊ぶ、ごく一般的な中学生である。
『シャドウバトル』
それは武装した『影』を操り戦う遊びである。
ほんの数年前に企業が公表した技術を用いた遊びであり、今や多くの子供たちを虜にしている。
「あーアキラお前手加減しろよな!」
「勝負において手加減も何もないだろ。
それにそんなの対戦相手に対するお前に失礼だ」
少年は『影法師(シャドウ)』と呼ばれる『影』を仕舞いながら笑った。
「へーへー。真面目だなぁお前」
「あっ、と、オレ今日は用事があるから!
また明日な!!」
「おう、明日は負けねーぞ!」
「昨日も同じ事を言ってたぞー」
「うるせー」
慌ただしく帰り支度を終え、待ちわびていた友人と共に家路を急ぐ。
「マリア、お待たせ」
「うん。帰りましょう」
少年はまだ知らない。
これから起こる出来事も、これから出会う仲間達のことも。
「明日はどんなバトルが出来るのかな!」
『影法師』に隠された闇もまだ知らない。
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